連載コラム - 春山明日香
アジアの富裕層が共感するものとは。
12/25
先週、上海に出張し、日本商品を上海に輸入するロジスティック企業で、マーケットリサーチを
担当する上海の女性達とミーティングする機会がありました。
その前週は、香港「MEGU」のリニューアルオープン店のディレクションをする、
香港を代表する日本料理店「西村」の料理長である西村さんが、食材を探しに
奥様と来日されていました。
近頃、「日本のいいもの」をアジアへと出していこうという動きが、一段と活発になっています。
でも、色々な人にお会いする中で、本当にいいものを求める層に、本当にいいものを脈々と
作り続ける人たちのプロダクトが届いていないことをつくづく感じます。
香港や上海のVIP層は、美味しいものにお金の糸目はつけません。
先日も1人30万円でのディナーが開かれたとか、5個1万円の林檎を贈呈に使ったとか・・・
そんな逸話ばかりです。
上海のミーティングでも感じたことは、大量生産品を消費するマーケットは依然として存在
していきますが、日本側でアジアへ出したいというものと、香港、上海、の富裕層が望む
商品がかみ合っていないのです。
では、国を超えて共通して感じるいいもの、とは何か。
台湾の百貨店バイヤーにお米の紹介をしてくれたソフィア、韓国へ日本の紹介を続ける
Michelle,そして今回会った、上海のRISAとMIKA、自国で強力なネットワークを持つ
彼女達と話していて、ある共通した価値観が存在していることに、最近気がつきました。
それは、「心を込めて作られたもの」への、人種を超えた共感でした。
会津の地域プロデューサー、本田さんが手がける「継承米」、岡山の阿部さんが手がける
「桃太郎葡萄」、エイラインの横山さんの「小鮎」・・・。
食べてもらうと、説明をしなくても感じてもらえる何かが存在しています。
「心を込めて作られたもの」を見極められる女性達が動き始めたときに、日本の高級商材
の新しいマーケットが開かれるのかもしれません。
日本には、もともと心を込めてモノづくりをする文化が存在しています。
その文化を、変わらず継承していく為に、地域プロデューサーと連携し紹介していくこと、
私達の大事な仕事の一つであるように思います。
~日本の自然信仰と母性性に基づいた、これからの地方再生の姿について~
09/28
日本の地方各地を訪れると、隅々に残る、母性豊かな自然崇拝の跡にぶつかります。古来の自然信仰の概念に基づき、今でも脈々とものづくりをする人達がいます。
それは、近代の産業改革からは取り残された遺物のようにも見えますが、視点を変えると脈々と続く母性性豊かな信仰に基づく知恵や考え方は、これからの時代に必要な新しい産業の原点でもあることに気がつきます。
シルバーウィークの後半、長崎ハウステンボスから大村湾を抜け、美しい九十九列島を抜け、玄界灘までセイリングする機会に巡り合いました。
あちこちに点在する第3セクターの遺物と対照的に、立ち寄った漁港では、今年が第一回目だと言う、地元住民の主催する食材フェスタが大賑わいを見せていました。方や同時期には、韓国から同世代の女性たちが大挙して新潟へと農業の視察に訪れていました。
最近耳にしたり、出会う、新しい地方再生の動きについて話を聞くと、実は最初はたった1人の地元の人の行動がきっかけだったということが多くあります。個の動きを中心とした輪が少しずつ広がり、それが地域を代表する産業に成長し、また魅力的な地を訪れる人々が出てくるという、地に根ざした活動の時代に入ったのだと思います。
日本には多くの島々が点在し、多くの里があり、それは一つ一つ違う魅力を持つという多様性に溢れた国です。それぞれの土地にあるのは、自然との共生の中にある限られたものばかりです。大都市、官僚、大資本主導で一方的に大箱を作る時代は終わり、限られた資源をどう魅力的なものにするかが、これからの地方産業、観光のテーマになってくるでしょう。
地域を巡る中で、新しい視点とは、実は斬新なものや今までにないものではなく、ヒントとなるのは古くから伝わる言い伝えや、知恵ではないかと感じることがあります。工業化の中で忘れ去られてしまった物事の本質を深堀りすることで、地域に眠っていたものが蘇る、それが本来の地域再生の有り方だと思います。
地域プロデュースを手がける魅力ある人々との巡り合いを通し、自然との共生や、古来より残る母性的思考を考察しながら、これからの産業の進むべき姿について追っていきたいと思います。
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