連載コラム - 藏谷 学 2009/9
神様から“地産地消”の教え
09/21
この秋の季節に、この厳しい時代に、この高齢化の進む時代に。
何を想い、何を行動しているのか。
そんな感じで、ネットで検索、電話で伺い。
「只今、かにフェアーをやっております」
何、まだ全国どこも解禁になってないはずなのに。
それもこんな山の中で。
「只今、フランス地方を巡る料理フェアーをやっています」
何、地方のホテルで、どうしてフランス郷土料理。
それもまったく地元食材を反映させずに。
「只今、金目鯛一匹まるごとフェアーをやっています」
美味しそう、でも一匹も要らないかな。
仕事柄なのか、値段合わせが先にあるような気がしてしまう。
旬は限りがあるからこそ、尊く、愛おしいもの。
それが無くなったら、それは餌そのもの。
それを忘れたら、それは畜生そのもの。
神様は、我々に基準を与えてくれます。
冬の寒い時は、身体が温まるように根菜物が採れ、
春の訪れは、冬で溜まった毒や澱を溶かすために、アクの強いものが芽吹き、
夏の暑い日は、水分の多い野菜やフルーツが実り、
秋の季節は、冬に向かって栄養の高い色とりどりの食材が育ちます。
暑い地域には、身体を冷やすために水分の多い物が採れ、
寒い地域には、身体を温める根菜物が採れます。
後は、それをどう取り入れるか。
ひとは、理性を持った動物です。
ひとと秘湯
09/11
今回の市町村合併で、
3つの村が一つになった。
それぞれにあった村の温泉施設3つを、
一つの振興公社が突然担当することに。
集客が落ち、付帯売上等客単価も下がっているので、
力を貸してほしいとの依頼。
平日の11時。
村のおじいちゃん、おばあちゃんばっかり。
東に腰に巻いていたコルセットをロッカーに干す者あれば、
西にひざに巻いていた長い包帯のよりを二人でもどす者あり。
南にタバコを燻らしながら、毛糸の編み物する者あれば、
北に「昨日、○○のスナックのママとデートした。」と自慢している者あり。
休憩室はもちろんのこと、
売店周りでも、ロビーでも、脱衣所でも、
とにかくどこででも、皆さんごろんとなっていらっしゃる。
施設はなぜか立派な鉄筋2階建てで、
刈入れをまじかに控えた黄金色の田園風景の中でひと際、異彩を放つ。
お食事は、
“当店自慢の坦々麺”、“とんこつラーメン”、“てんぷらざる蕎麦”、
“名物ソースかつ丼”etc、がっつりしっかり系ばかり。
お料理の平均売価は900円ぐらいか。
村の人にとっては、村に無い物をねだり、
外から来る人は、“そこらしさ”が来館動機になる。
閃いた!
キーワードはおじいちゃんとおばあちゃん。
皆さんとにかく時間が余って、皆さんまだまだ頼りにされたい。
店頭では、おじいちゃんが採ってきたきのこを販売して、
食堂では、おばあちゃんが作ってきた煮物を名物にする。
風呂上りには、そんなに食べたくないもの。
やっぱりビール飲みたい、美味しい地元の惣菜と一緒になんて最高。
お土産は、街では手に入らない物を買いたい。
おじいちゃん、おばあちゃんは頼られ、収入も増え、喜び、
「俺、私が作ったのがあるから」と誘客にも自然発生的に一役買ってくれ、
平日と週末、日中と夕方の使い分け、売上確保も完結。
物が溢れている現代。
それを活かすも殺すも人次第。
想えば心に天地を盛ることも出来る。
結婚式
09/07
大学時代の友人の結婚式で青森初上陸。
初めてシャルル・ド・ゴールに着いた朝の4時。
雨の降る灰色のパリ。
まさにそんな覚えを感じながら。
南部せんべいを静かに焼くおばあちゃん。
結婚指輪と焼き金が擦れるカチカチという音が街を走る。
フェリーの波止場でりんごを広げる見たところ20代の女性。
片方の乳房を小さな赤子にふくませながら。
2次会で隣に座った友人の女性上司。
勢いよく白子を啜るその横顔に、僕は思わず股間を押さえた。
「お兄さん、1かけ食べて」
「どうですか、味見してみてください」
「どう、美味しいでしょう」
交わす言葉はかみ合わないけれど、
食べて行くことは、万人共通の言語。
にっぽんを変えたいと集まった200名の食道士。
出会いは、我々の若さ。
そして、我々の成長であり、
我々の愛でもある。
伝えましょう、この豊かさを。
manue
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