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畦地履正 株式会社四万十ドラマ

地域産品だけでなく、環境保全・雇用・観光までを視野に入れて事業展開
| 最後の清流で知られる四万十川流域でスケールの大きな活動をしている、地域プロデューサーがいる。地域産品を流通させるだけでなく、環境保全、地元の雇用、観光までを視野に入れて事業展開を行っている人物、畦地履正氏その人である。 地元の人は彼のことを愛着を込めて“リシヨー”と呼ぶ。四万十鮎市場の林大介氏は、「リシヨーは田舎に固まっていないで、県や国の仕事をとってくる。おまけに地場産のモノを県外に売ってくる力の持ち主。こっちにはいない宇宙人じゃ」 彼が代表取締役を務める株式会社四万十ドラマでは、現在“地元の農林業の素材にこだわった”物品販売、“四万十川に負担をかけない”商品開発、道の駅『四万十とおわ』の運営、会員制度『RIVER』を中心に全国の都市と地方の交流を行う観光交流、そして自社の実績・経験をもとに他地域を支援するノウハウ移転等の事業を行っている。 |
![]() 四万十鮎市場の林大介氏と一緒に。林氏が持つ地元の モクズガニは、上海ガニに匹敵する味 |
現在の活動のきっかけは、四万十のお茶のブランディング
![]() 四万十の緑茶・焙じ茶・紅茶、栗の渋皮煮、新聞バッグなど、 四万十ドラマが開発したオリジナル商品 |
畦地氏が現在の活動を振り返ってみると、農協職員の時に出会った四万十のお茶がきっかけになっている。 「四万十では緑茶・ほうじ茶・紅茶ができれるのですが、うちの紅茶はすべて静岡に出荷されていたんです。高知のお茶が静岡へ出されて、混ぜられて、静岡のお茶になっていたわけです。要は原料提供、下請けですよ。そんなの面白くない。そこで、四万十川のほとりで新茶を飲んでもらうと同時に、茶摘み体験や茶工場を見学してもらうイベントをやったところ非常に好評だったんですね。そこから始まって、自分達のお茶は自分達で売りたい。そうなると、四万十のお茶という名前をつけないといかんし、デザインもしていきたい。そうなると農協ではない世界になってきたわけです」(畦地氏) |
豊かな地域資源をどのように活用するか、それが四万十ドラマの役割
| 畦地氏は自身の活動を通じて出会った、農業生産者やデザイナーの違う生き方に惹かれ始めていた。ただし、子供2人はまだ幼いし、独立するノウハウもない。そんな時、ある農家から「おまえは勝手にやったらええんじゃ。思うがままにやったらいいんじゃないか。おまえの人生は1回しかないんだから」というアドバイスを受け、農協を辞める決心がつく。 そんな時、四万十川流域の町村合併に伴い、第三セクターの組織を作って商品開発や人材育成、販路開拓をやるという話が届く。“これこそ俺がやりたいことや”ということで応募したところ、応募者40人という厳しい倍率を勝ち抜き、社員として見事採用。ところが、畦地氏と臨時職員の経理担当者2名という小所帯で、当初はひとりで活動することが多かったという。 いざ活動を始めようとしても、誰も何も教えてくれない。そこで始めたのは、とにかく地域を歩くこと。地元の歩いて調べていくと、十和村が市町村別で椎茸の生産量が全国で2回ナンバーワンになっていたり、川漁師の川船を造れる職人はこの四万十川流域にしかいないなど、豊かな地域資源に気づいてくる。 「こうしたモノ・コト・ヒトといった地域資源を、どのように活用するかが、この四万十ドラマの役割だと気づきました」(畦地氏) |
![]() 無農薬の野菜を60品目近く栽培し、宅配を中心に販売を行っ ている、桐島畑の桐島正一・美郷夫妻と一緒に |
環境・産業・ネットワークが循環しながら地元に着地する“四万十川方式地元発着型産業”
![]() “四万十川から新しい物語を作ろう”という狙いから設立され、 15年間で売上3億円、スタッフも20名を超えた四万十ドラマ。 畦地氏と意志を同じくする仲間と共に |
畦地氏が手探りで見つけ出した、四万十ドラマのコンセプトは「四万十川に負担をかけないものづくり」だ。そして、先ほどのコンセプトをより具体的にするため、“ローカル”・“ローテク”・“ローインパクト”という3つの言葉を使っている。“ローカル”は、四万十川を中心に豊かさ・生き方を考えるネットワークを構築すること(会員制度・観光産業)。そして“ローテク”は、農林漁業に生きづく技術や知恵や第1次、1,5次産業にこだわること(商品づくり・産業づくり)。最後の“ローインパクト”は、四万十川に負荷をかけない風景を保全しながら活用する仕組みをつくること(環境ビジネス・風景保全)。 「栗を例に挙げて説明すると、栗を売る“地域産品の販売”だけでなく、栗の選定・技術を磨けば“人材育成”となり、作業を行うことで“雇用”が生まれる。そして山に人が入ることで“環境”が守られる。このように、環境・産業・ネットワークが循環しながら地元に着地する。僕はこれを、“四万十川方式地元発着型産業”と呼んでいます」(畦地氏)。 |
商品を売るのではなく、考え方を買ってもらう
| 「実はうちは商品を売ろうとしていません。考え方を買ってもらっています」(畦地氏) バイヤーが商品をみて売場に置いたり、雑誌に載っただけでは物は売れないというのだ。 「この現場に足を運んで、実際に生産者に会って、ゆっくり話をしてもらう。そして、生産者から製造方法を聞いたり、商品への思いを分かってもらわないと。それが、売場のPOPや雑誌であれば記事になるわけじゃないですか。そうすることによって、僕は物が売れていく仕組みができると思うんですね。これが普通だと思うんです」(畦地氏) 事実、バイヤーとの商談機会は多いが、四万十に足を運んで現場を見ないバイヤーとは取引していないという。さらに畦地氏は、次のように続ける。 「デフレの今、商品が安い方へ行っている現実があります。これは、地域をつぶすことにつながります。でも、皆さん考えてください。地域で物を作る生産者が全国にいなくなったら、困るのは誰ですか? そのことに気づいていますか? これは流通のあり方がおかしいのであって、“買い叩く”ことが仕事であってはならない。“育てる”ことが仕事なんです。生産者を育てられるように、一緒になって取り組んでいかないと」(畦地氏) |
![]() 平成19年7月のオープン以来、年間13万人が来訪する道の駅 高知県高岡郡四万十町十和川口62-9 TEL:0880-28-5421 営業時間:夏8時30分~18時、冬8時30分~17時 年中無休(元日,12月~2月冬期不定休あり) |
ノウハウ・アライアンスをしたい方は、ぜひ声をかけて欲しい
![]() 高知の風習“献杯”で酒を酌み交わし、信頼関係を築いて いきたいという畦地氏 |
「やっぱり困っているのは地域なんですよね。歴史も文化も地域資源もあるんだけれど、その見つけ方が分からないし、見つけた物をどう活かすかというノウハウを知らないんです。だから、僕はノウハウのアライアンスをしたい。実際、能登の御祓川や、会津の素材広場といった地域プロデューサーには、四万十ドラマのノウハウを移転したところ成果を上げています。ノウハウというのはバッティングしないし、お互いに良いノウハウは情報交換したい。だからノウハウ・アライアンスをしたい方は、ぜひ声をかけて欲しい。そのかわり、変な下心でやるのはイヤだと。腹をわってやろうやと。四万十へ来て酒を酌み交わして、そういう信頼関係を作りたいんですよ。やる限りは」(畦地氏) |
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